株式会社マネジメントコンサルタンツグループ  代表 小林勇治
 〜ハードメーカーへハッキリものをいうコンサル 
(企業診断 2001/5号 記事より)
 「あらかじめ、すべての数字を試算して投資効果をはっきり見せ、実際にやるかやらないかは先方が決める。結果の検証も必ず数字として出すんです。そうしないと顧客はフィーを払わないし、予測通りにいかなければコンサルは首です。」独立から十数年、一貫してこのわかりやすさでコンサルを続けてきた小林だが、その方法論は前職である外資系コンピュータメーカー日本NCRで磨かれたものだ。しかしコンピュータを売っても納得する顧客満足が得られなかった。

「中小企業のITに対する意識調査などを見ても投資効果が見えないという回答が相変わらず多い。意識改革、業務改革、約務改革がともなわないIT導入はメリットがない、ということを私は15年以上前から主張しています。」小林が開発したこれらのマインドウェア、ヒューマンウェア、コミュニケーションウェア、ソフトウェエア、ハードウェエアによる経営革新手法は「ITミーコッシュ」革新手法といっている。「氷山にたとえると水面にでているハードウエアとソフトウェアはほんの一部で、実際は水面下にある部分、特にマインドウェアが大切」だという。

今どきの「ITコーディネータ」という言葉も当たり前だが、その元祖ともいえる小林にしてみると現状に危惧がないわけでもない。「ITの視点と経営の視点にブリッジをかけましょうという考え方はいい。しかし、ただ橋をかけただけではだめで、橋桁の位置がコンピュータメーカー側によってしまってはまずいと思う。」ハードメーカーが一括受注し最初は値引きするものの、あとからシステム変更ごとに追加・修正料金を取るという従来のシステムを小林は徹底的に批判する。「極端にいうと1円で落札して、後で追加料金をいくらでも取るという発想。実態を知らないお客さんは大変損をしますよ。」

「普通のコンサルはメーカーから仕事をもらいたいのでメーカー側につく。私はユーザー側に立っているから『料金は契約書通り、最後までキッチリと動くものつくるまでやってください』と一切妥協なくいいます。そんな人間はメーカーにすれば目の上のタンコブですよ。いつか後ろからズドンとやられるかも(笑)」こういう不況時だからこそ小林流ビジネスは大盛況だ。数字の上にたつドライな仕事ぶりも、商売に苦しむ中小企業オーナーの顔を思い浮かべてのこと。そんな硬軟取り混ぜてのスタイルが小林の魅力の源泉だ。