株式会社マネジメントコンサルタンツグループ  代表 小林勇治
 〜いまだ成熟の域に達していない日本のFSP環境 
(日経流通新聞 2001/6/28記事より)

 日本で顧客の囲い込み戦略といえば大手量販店やデパート、スーパーなどが採用しているポイント還元サービスや、クーポン券付き宣伝チラシなどがあるが、「優良顧客」の確保に成功しているかというと大部分はそうではない、というのが専門家の見解だ。

 流通業界のコンピュータシステムの構築/運用に関するコンサルティングを行っている小林氏によると、「この業界で成功するには商品の売上げに関する情報収集と管理以外に顧客の動向をつかむ必要がある。POSシステムそのものはある程度普及はしているが、顧客の属性まで収集する機能まではついていない。これを可能にするのがFSPだが、残念ながら日本ではあまり利用されていない。」と説明する。

 だからといって、FSP用のデータベースに多くのお金をつぎこめば効果があがるというものではない。特に書店や量販店などの場合は「衝動買い」が多いため、顧客の属性を的確にとらえることはほとんど不可能だ。そういうことを認識しながらシステムをつくっていなければならない。

 「個人の趣味など細かい部分までデータとして管理する必要はない。せめて来店頻度だけでもきちんと分析し、それができた段階で次のステップに移るほうがコスト的には効率が高い」(小林氏)という。

FSPは同業他社が乱立するような地域で最も威力を発揮する。しっかりと囲い込みを行うと70%以上の顧客は常連化するというから、いかにFSPが重要かわかるだろう。